一日散策 関西歴史紀行 【鷹峯街道 Takagamine】

京都の通り1本を端から端まで 1日で歴史を味わう散策コース

PLAN03 鷹峯街道 Takagamine

鷹峯街道 Takagamine
鷹峯街道 Takagamine
鷹峯街道 Takagamine
鷹峯街道 Takagamine鷹峯街道 Takagamine

 鷹峯は、千本通を北へ進み、北山通と交わる道を西方向へ進んでいく古い街道で、京の七口の一つである「長坂口」から、丹波、若狭の国へと抜けていきます。かつては、鯖街道の一街道でもありました。安永年間(1772~1781)の『都名所図会』には、鷹峯街道を往来する多くの人々の姿が描かれていて、大半が荷物を担いでいます。丹波の郷や日本海から多くの物資が京の都に運び込まれる、重要な交通の要衝であったことがうかがい知れます。

 街道の西側は紙屋川が流れる渓谷になっていて、街道はゆっくりとした坂道になっています。周辺には農地が多くあり、京野菜の聖護院大根、鷹峯ネギ、鷹峯唐辛子、鹿ケ谷(ししがたに)南瓜などが現在でも栽培されています。平安時代、この周辺は栗栖野(くるすの)と呼ばれていて、天皇が遊猟や鷹狩に興じていたといわれています。鷹狩の名所であったことから、鷹峯という地名が生まれたとも伝わります。

 豊臣秀吉の時代になると、外敵の侵入を防御するために「御土居(おどい)」が築かれます。「御土居」とは、台形の土塁(土を盛ったもの)と堀によって構成され、京の中心地をぐるりと取り巻くように構築され、内側を「洛中」、外側を「洛外」と呼んでいました。そして、その「御土居」に造られたのが「京の七口」です。
 江戸時代になると、天下泰平の世となり「御土居」の役割は終り、徐々に取り崩されていきますが、鷹峯街道沿いには今も「御土居」の痕跡が残っていますので、ここでご紹介したいと思います。

 今回は、この鷹峯街道を坂道の上を出発点にして、古刹や名所、老舗を回りながら歩いてみましょう。JR二条駅、阪急四条大宮駅からは6系統の京都市営バス、地下鉄北大路駅「北大路バスターミナル」からは北1系統の市バスに乗車し、「鷹峯源光庵前」で下車したところを起点に、歩き始めましょう。

源光庵(げんこうあん)

源光庵(げんこうあん)

 バス停を降りた周辺には、いくつかの古刹があります。貞和2年(1346)に臨済宗大徳寺の僧の隠居所として開基された源光庵は、元禄7年(1694)に曹洞宗に改宗された寺院。伏見桃山城から移築した血天井や、悟りの窓、迷いの窓が有名です。

常照寺(じょうしょうじ)

常照寺(じょうしょうじ)

 後でご案内する本阿弥光悦が土地を寄進した光悦村の一寺で、日蓮宗の檀林(修行場、学問所)として開かれ、多くの学僧が学んでいたと記録されている。美しい境内を眺めるのもいいでしょう。

光悦寺(こうえつじ)
光悦寺(こうえつじ)光悦寺(こうえつじ)光悦寺(こうえつじ)

光悦寺(こうえつじ)

 鷹峯には、鷹ヶ峰、鷲ヶ峰、天ヶ峰なる鷹峯三山という景勝の地があります。この一帯を鷹ヶ峰光悦町と称し、元和元年(1615)に徳川家康が本阿弥光悦に野屋敷を与えました。光悦はこの地で様々な工芸職人による芸術集落を作り、光悦指導のもと、茶碗や書道、絵画、蒔絵、彫刻染織など、多様な芸術作品を世に送り出しました。

 とりわけ、割り竹を粗目の菱形に組み、優雅な曲線を描く頂部を持つ「光悦垣」が有名で、境内でその美しい姿を見ることができます。また、光悦は茶道においても奥義を極め、境内には7席の茶室が建てられています。ゆっくりと歩いて、静謐さを感じたいですね。

 光悦がここに芸術集落を構築したのは1615年。この年、当地から60キロ余り離れた大坂では、家康率いる幕府軍の「大坂夏の陣」が繰り広げられていました。その戦いから逃れた落武者がこのあたりに来て、街道筋で追剥ぎなど狼藉を働いていたともいわれています。家康は、光悦にこの地を与えることで、京の都の治安を守るべく指示をしたのかもしれませんね。

 光悦寺からは、京都の市街地が一望できます。本阿弥光悦もここから眺めたであろう風景を見て、光悦の芸術心に触れたいものですね。

光悦寺

〒603-8466
京都市北区鷹峯光悦町29

075-491-1399

午前8時~午後5時
大人400円
毎年11月10日~13日の4日間
鷹峯街道

鷹峯街道

 坂の上から眺めると、鷹峯街道は結構な坂道であることが分かります。ここから、ゆっくりと坂道を下りながら歩いていきましょう。街道沿いには古くからの町家や商家の一部が残っています。

松野醤油

松野醤油

 松野家は、安土桃山時代からこの鷹峯街道の地に居を構えていました。文化2年(1805)初代松野新九郎が手造り醤油の製造を始め、以降代々その製法が受け継がれ、現在に至っています。地元京都はもちろんのこと、鷹峯街道が伸びる丹波でも松野醤油が愛されています。昔づくり製法の「さしみ醤油」は、麹を塩水に仕込んで一年熟成させた生醤油に、もう一度麹を加えて約二年間かけて熟成させた醤油で、人気の逸品。味がまろやかでコクがあり、塩分も低くおさえ、さしみはもとより、かけ醤油や煮物にも合います。本醸造の「こいくち醤油」は、かけ醤油や煮物など幅広く使え、京料理に欠かせない「うすくち醤油」も定番醤油として、京の食卓に並びます。鷹峯街道を歩いたお土産にふさわしいひと品です。

松野醤油

〒603-8465
京都市北区鷹峯土天井町21
075-492-2984
午前9時〜午後6時
定休日 木曜日
店休日:8月15日~16日、12月30日~1月5日
http://www.matsunoshouyu.co.jp/
御土居(おどい)

御土居(おどい)

 天下統一を成就した豊臣秀吉が、京都大改造の一環として、外敵侵入防御のため、賀茂川氾濫の堤防として築いたのがこの「御土居」です。京都の町の中を22.5キロメートルに渡って築かれ、東は賀茂川、北はここ鷹ヶ峰、西は紙屋川、南は九条あたりまでを網羅しています。鷹ヶ峰の御土居は、洛中の北西隅にあたる区域のもので、昭和5年に文部省により「史跡」に指定されています。こんもりと盛り土されたその姿は、今は一部しか残っていませんが、この土塁が延々と京都の町のなかを取り巻いていたと想像すると、秀吉の大改造工事がいかに大きな規模であったかが窺い知れますね。

御土居(おどい)
公儀 鷹ヶ峰薬園跡

公儀 鷹ヶ峰薬園跡

 街道沿いに石碑が建てられています。「徳川時代 公儀 鷹ヶ峰薬園跡」です。寛永17年(1640)にこの地に薬園が設置され、禁裏(天皇)の典医であった藤林道壽(どうじゅ)の一族が明治維新まで薬園を管轄したそうです。記録によれば、栽培されていた薬種のうち95種が禁裏に献上され、73種が江戸に送られていたとか。当時の京都は、医学の最先端の地だったのでしょうね。

西向寺(さいこうじ)

西向寺(さいこうじ)

 今宮通を少し北へ上がったところに、西向寺という浄土宗知恩院派の寺院があります。寛永年間(1624~44)に、清誉浄顕(せいよじょうけん)上人が西向庵なる小さな草庵を建てたのが起こりで、現在の堂宇は宝暦2年(1752)に再建されたものです。本堂には阿弥陀如来二十五菩薩が祀られ、南脇壇に安置する二体の阿弥陀如来像は「二葉の弥陀」と称し、藤原時代中期の作といわれています。仏像内に納められていた胎内文書・本尊再興奉加帖によれば、上賀茂神社の別所であった上賀茂御堂西念寺のもので、明治の廃仏毀釈で廃寺となった際、西向寺に持ち込まれたものだそうです。

 西向寺の庭は、遠くにそびえる比叡山を借景にした、見ごたえ十分の庭です。うまく比叡山の山容を入れて、パチリと一枚、シャッターを押したいものです。

西向寺(さいこうじ)
今宮神社門前、二軒の名物「あぶり餅屋」さん
今宮神社門前、二軒の名物「あぶり餅屋」さん今宮神社門前、二軒の名物「あぶり餅屋」さん

今宮神社門前、二軒の名物「あぶり餅屋」さん

 今宮神社の東門前の参道沿いに二軒の「あぶり餅屋」があります。一文字屋和助(略称「一和」)と「かざりや」です。「あぶり餅」とは、つきたてのお餅を親指大にちぎってきな粉をまぶし、そのお餅を竹の串に刺して炭火で炙り、白味噌のタレをからめたお餅。「一和」の創業は平安時代にまで遡り、1000年の歴史があります。日本最古の和菓子屋といえるでしょう。一方の「かざりや」は、江戸初期創業で400年の歴史があります。今回は、お座敷でゆっくりとくつろげる「かざりや」さんでお茶を頂き、昔の味がするおいしいあぶり餅をご賞味あれ。

あぶり餅 本家・根本 かざりや

〒603-8243

京都市北区紫野今宮町96 今宮神社東門南側

075-491-9402
午前10時〜午後5時
毎週水曜日(但し水曜が1・15日・祝日の時営業し、翌木曜が休み)
あぶり餅 一皿(お茶付):¥500
あぶり餅 お土産用3人前(竹の皮で包みます):¥1500~
※地方発送不可
https://www.kyokanko.or.jp/shisetsu/miyage_d.phtml?id=my0063
大徳寺の石畳を歩いて北大路通へ

大徳寺の石畳を歩いて北大路通へ

 臨済宗大徳寺派大本山・大徳寺は、大燈国師宗峰妙超(だいとうこくし しゅうほう みょうちょう)が開山した禅寺。多くの塔頭(たっちゅう~祖師や門徒高僧が亡くなった後、弟子たちが師の徳を慕い、大寺・名刹に寄り添って建てた塔)が建ち並ぶ間に延びる石畳の道を歩いて、北大路通の「大徳寺前」バス停まで行きましょう。ここから、京都市営地下鉄、阪急、京阪の駅までバスが出ています。

大徳寺の石畳を歩いて北大路通へ
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