一日散策 関西歴史紀行 【哲学の道 Tetsugakunomichi】

京都の通り1本を端から端まで 1日で歴史を味わう散策コース

PLAN10 哲学の道 Tetsugakunomichi

PLAN10 哲学の道 Tetsugakunomichi
PLAN10 哲学の道 Tetsugakunomichi
PLAN10 哲学の道 Tetsugakunomichi
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 哲学の道……と聞けば、難しい顔つきをした男性が両手を後ろに回して、うつむき加減に歩いている道、という印象を持たれるかもしれません。しかし、実際は観光客が多く訪れ、散策する京都で人気のスポットであることはご存知だと思います。

 哲学の道という呼称はさほど古いものではなく、昭和47年(1972)地元の方々によって名づけられたもので、それ以前は「散策の道」「思索の道」「疏水の小径」などと呼ばれていました。昭和36年に出版された『古都再見』(京都新聞社編・河出書房新社刊行)に、当時同志社大学総長であった大塚節治氏の随筆があり、そこには「疎水端」と書かれています。この疎水から東山山系を少し登ったところに、同志社大学創立者である新島襄と妻の八重(NHK大河ドラマ「八重の桜」の主人公)の墓所があることから、総長はよく散策されていたようです。 哲学の道は、琵琶湖疎水分線に沿って造られた管理用の小径で、明治23年(1890)に造成されました。熊野若王子神社から銀閣寺までの南北約1.5キロで、明治期に哲学者の西田幾多郎や田辺元が歩いたことから、「哲学」の名称が授けられました。

 通りに沿っていくつかの古刹があり、熊野若王子神社、大豊神社、法然上人ゆかりの法然院、世界遺産に登録されている銀閣寺など、歴史物語の裾野が広がる場所が残されています。

 昭和53年(1978)に廃止された京都市電の敷石を活用した小径には、連日多くの観光客が訪れています。日本人より外国人観光客の姿を多く見かけるのは、“Philosopher's Walk”としてインターネットで紹介されているからだそうです。

 今回は、哲学の道を南側の熊野若王子神社を起点にして、銀閣寺前までのコースをのんびりと散策し、周辺の旧跡を訪ね、最後においしい甘味を頂きたいと思います。起点となる若王子熊野神社へは、京都駅、阪急河原町駅、京阪三条京阪駅からは市バス5系統に乗り、「南禅寺・永観堂道」のバス停で降り、徒歩約5分。京都市営地下鉄なら蹴上駅で降車し、徒歩約17分となっています。

熊野若王子神社
熊野若王子神社熊野若王子神社

熊野若王子神社へ

 市バス「南禅寺・永観堂道」は白川通沿いにあります。そこから東山の方向に向かって歩いていくと、総本山永観堂禅林寺の山門が見えてきます。そこからさらに山の麓方向に歩くと、哲学の道の石碑があり、整備された小径が北の方向に延びています。そして右手の若王子橋を越えた山側に熊野若王子神社の姿が目に入ってきます。

 熊野若王子神社は、平治の乱によって改元された永暦元年(1160)、後白河上皇が紀州の熊野権現を勧請した永観堂禅林寺の守護として創建された神社で、熊野詣の起点となる社です。

 京都には熊野権現を表す「三熊野」があり、新熊野神社=熊野本宮大社(東山区今熊野)、熊野神社=熊野速玉大社(左京区聖護院)、そして熊野那智大社としての熊野若王子神社です。この熊野若王子神社から後白河上皇は、34回にわたって熊野御幸をされたそうです。

 ご祭神は国常立神、伊佐那岐神、伊佐那美神、天照大神で、熊野若王子の名の由来は、天照大神の別の名である若一王子にちなんでいます。室町時代には武士の信仰を集め、寛政6年(1465)には足利義政が花見の宴を開くなど、四季折々の花が咲き誇ります。応仁の乱によって荒廃するものの、豊臣秀吉によって整備され、その後改修が重ねられて現在の姿になりました。

 ご神木は「梛(なぎ)」の樹で、境内には樹齢400年の古木があります。梛の樹は古くから穢れを祓い清める樹として用いられていました。この葉で作られたお守りは「悩みごとをナギ倒す」といわれ、ご利益が「縁結び、厄祓い、リフレッシュ」という、私たち現代人にとっても有り難いものとなっています。また、この梛の葉をくわえた八咫烏(やたがらす)の絵馬もあります。サッカーファンならぜひ訪ねてみたいものですね。

熊野若王子神社

〒606-8444
京都市左京区若王子町2
075-771-7420
大豊神社
大豊神社大豊神社

大豊神社(おおとよじんじゃ)

 哲学の道から少し山側を登ったところにある大豊神社。南禅寺一帯の土産神(うぶすなのかみ)で、社伝によると、仁和3年(887)に宇多天皇の病平癒祈願のために創建された古社であり、少彦名命を祀り、後の代に応神天皇と菅原道真公が合祀されました。

 大豊神社には、わが国で唯一といわれる「狛鼠(こまねずみ)」がおられます。末社である大国社におられ、その可愛い姿を求めて多くの人たちが訪れます。また、日吉社には「狛猿」が、愛宕社には「狛鳶(こまとび)」も鎮座し、それぞれ神のお使いとして人気があります。

 境内には、椿や枝垂れ紅梅、紫陽花(あじさい)をはじめ、季節の山野草が咲き、参拝者を和ませています。

大豊神社

〒606-8424
京都市左京区鹿ケ谷宮ノ前町1
075-771-1351
哲学の道

哲学の道をゆく

 小径に沿って、多くの桜が植えられています。春になると見事な桜並木になるでしょうね。この桜の木は、近くに住居を構えていた日本画家・橋本関雪(はしもと かんせつ)(1883~1945年)と妻のよねが大正10年(1921)に300本の苗木を寄贈したもので、画家として地位を築いた関雪が古都への報恩としたものです。当時の桜木は樹齢が尽きたといわれていますが、造園家の佐野藤右衛門たちによって植えかえられ、現在も見事な桜花を咲かせ、「関雪桜」として親しまれています。

哲学の道
法然院

法然院

 法然院は、鎌倉時代初期に法然上人が弟子の安楽・住蓮とともに念佛三昧の別行を修し、六時礼讃を唱えられた草庵でした。ところが建永元年(1206)、後鳥羽上皇の熊野臨幸の留守中に、上皇の女房松虫・鈴虫が安楽・住蓮を慕って出家したことから上皇の逆鱗に触れ、法然上人は讃岐国へ流罪、安楽・住蓮は死罪となり、その後草庵は荒廃します。

 時は流れ、江戸初期の延宝8年(1680)、知恩院第三十八世萬無(ばんぶ)和尚が、法然上人ゆかりのこの地に念佛道場を建立することを発願し、弟子の忍澂(にんちょう)和尚によって、現在の伽藍の基礎が築かれました。

 法然上人ありし日の面影を今も伝えるという茅葺の門が美しい法然院。単立の浄土宗寺院で、正式名を「善気山(ぜんきさん)法然院萬無教寺」と号します。

 山門の手前に、「不許葷辛酒肉入山門」という石碑があり、ニラやニンニク、ネギなど臭気のあるもの、生姜(しょうが)やからし菜など辛味のある野菜を口にした者、さらに酒を呑んだ者、肉を口にした者は山門に入ることができないと書かれています。

 山門をくぐるとすぐに見える「白砂壇(びゃくさだん)」。水を表わす砂檀の間を通り抜けることは、心身を清めて浄域に足を踏み入れることを意味しています。

 本堂をはじめ、方丈、経蔵などが東山の自然に融け込むように建ち、阿弥陀三尊を象徴する三尊石を配した庭園を眺めていると、時空を超えるような不思議な心境になります。流れ落ちる清らかなる水は、忍澂が錫状(しゃくじょう)により探り当てたといわれ、「善気水」と呼ばれています。

 第31代貫主(かんす)の梶田真章住職は、アーティストの発表の場やシンポジウムの会場として寺を開放し、法話も数多く開催。また、自然の魅力を学び触れる活動「法然院森のセンター」(http://fieldsociety.la.coocan.jp/)を開催するなど、現代における寺の可能性を追求されています。詳しくは法然院ホームページをご覧ください。

境内は常に開放されていますが、伽藍内部は通常非公開。春と秋には一般公開されます。

法然院

〒606-8422
京都市左京区鹿ヶ谷御所ノ段町30番地
075-771-2420
午前6時~午後4時
無料
http://www.honen-in.jp/
銀閣寺前

銀閣寺前にて

 哲学の道の最終地点は東山慈照寺銀閣寺です。上京区にある臨済宗相国寺の境外(けいがい)塔頭~禅宗寺院において、祖師や高僧亡き後に寄り添うように建てた塔や庵のこと~であり、室町後期の東山文化を代表する建物と庭があります。

 銀閣寺の門前、通称銀閣寺道には土産物屋が数多く建ち並び、多くの観光客でにぎわいを見せています。時間があれば、銀閣寺を訪ねてみてください。

甘味処 銀閣寺「㐂み家」

甘味処 銀閣寺「㐂み家」

 散策の最後に立ち寄りたいのがここ「㐂み家」です。鹿ケ谷通りを少し南へ下ったところにある小さな間口のお店で、人気の甘味処です。名物は「豆かん」、関西ではあまり馴染みのない甘味ですね。

 寒天の上に赤えんどう豆をのせ、そこに黒蜜をかけたもので、東京の下町ではよく食べられているそうです。「㐂み家」さんは、2000年2月3日に東京育ちのオーナーさんが開店され、自家製の寒天とたっぷりの赤えんどう豆の「豆かん」はたちまち名物になったそうです。

 季節によって限定メニューが登場します。夏場は「かき氷」で、自家製の蜜が評判です。秋冬(11月~4月上旬)の人気メニューとしては、大納言小豆をたっぷりと使った「ぜんざい」と、京都の白味噌を使った「京風白味噌雑煮」があります。今回は、黒蜜がたっぷりの「豆かん」と、お餅が2つ入った「京風白味噌雑煮」をご紹介します。どちらもとてもボリューミーで、きっと満足しますよ。

 哲学の道を歩いた後、甘いものをいただいて、心も身体もほっこりとさせてあげるにはうってつけのお店です。

㐂み家

〒606‐8405
京都市左京区浄土寺上南田町37‐1
075-761-4127
午前11時~午後5時
不定休
http://www.kimiya-kyoto.com/

帰り道のご案内

 京都市バスの「銀閣寺前」からは、100系統のバスが京都駅まで出ています。このバスで「祇園」で下車すれば、京阪電車の「祇園四条駅」まで歩いて行けます。阪急電車の方は、市バス32系統に乗れば、「四条河原町」で下車が便利です。

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